【完】DROP(ドロップ)
「鈴ちゃんさ、KEIが好きなの?」
俺は何を聞いてるんだ。
それがどうしたんだよ。
「え? 巧ちゃん……いつから見てたの?」
街頭に照らされた鈴ちゃんの顔がほんのり赤くなった。
「KEIのどこがいいんだ?」
「んー。あの落ち着いた感じ?」
思わず笑ってしまった。
それを見て、鈴ちゃんはキョトンって顔をしてたけど。
だって、KEIは落ち着いてなんかいないだろ。
雫の為にあんな事までするんだから。
まぁ、俺もそれを知るまではテレビで観る姿を信じてたけどな。
あーぁ。
俺、やっぱり雫の事まだ引き摺ってんな。
「どうしたの、巧ちゃん?」
「んー? 鈴ちゃん、さっきの男好き?」
えぇぇ? と顔をわざとらしい位に左右に振った。
「やっぱ、好きなのを止めるのは無理だよな」
「へ?」
「それを決めるのは自分自身だよな、他人じゃない」
「……巧ちゃん?」
「諦めろって言ってごめんな?」
そう言うとポロポロ大粒の涙を流した。
自意識過剰って言われるかって思った。
これじゃあ、鈴ちゃんは俺が好きなんだろって言ってるも同じだしな。