理不尽
鞄に見慣れないものがある。
「これ、誰の?」
長細いポーチのようなものだった。
「私のお財布!!」その女の子は私の手から剥ぎ取る。
「盗んだのね!?」そう叫ぶと彼女は涼子さんに訴えかけるように見た。
蔑むような周りの視線が痛い。
「私何もしてない!」
身に覚えのない事。
このポーチは初めて目にするものだった。第一初見でこれをお財布だと思わなかったのだ。
それでも鞄から出てきてしまった今、私の卑劣な叫び声も、なんの説得力もない。