理不尽

「おい!」

ずっと聞きたかった声が聞こえた。
ぱちゃぱちゃと水が跳ねる音が聞こえる。

「何があった!?」

そう言いながら私を抱きしめてくれる。

「は、晴樹…
濡れちゃうよ…」

「こんなに泣いてるのに放って置けないでしょ。暗いし雨も降ってるのに」

「でも…晴樹の体は…大丈夫なの…!?」

私になんて構わないで体を大事にしてよね。
なんで言っても優しい晴樹は放っておいたりしないんだろうな。
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