お姫様は男装騎士
馬車が止まり、


「着きましたよ」


と御者が馬車の扉を開ける。


そのおかげで気まずかった雰囲気が和らいだ。


「さて、案内をするよ。カロナ」


と父上が先に降りて僕に手を差し伸べる。


「父上、僕は男だよ?」


と差し伸べられた手を避けながら馬車から飛び降りる。


「そうだったね…」


と父上は差し出したままの手を見つめたあと、握り締めていた。


(ごめんなさい、父上…)


と心の中で謝る。


「さて、まずは…」


と言いかけたところで、


「アダム牧師先生、お帰りなさいませ。…そちらの方は?」


と眼鏡を掛けた牧師様が遮った。


「ただいま、リアム牧師先生。

この子はカロナだよ。

カロナ、ご挨拶を」


とポンっと優しく押されたので一歩前に出る。


「お初にお目にかかります。

何時も父がお世話になっております。

カロナ・ユーインと申します。

以後お見知りおきください。」


とお辞儀をする。


「カロナ・ユーインさんですね。

申し遅れました、

私の名前はリアム・クラークです。

よろしくお願いしますね」


とリアム牧師先生もお辞儀をする。
< 16 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop