お稲荷様のお呼びです!
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学校では何事もない日常を過ごせると、そう思ってた。
嘉さんが居候し始めて早5日目。
今日は朝からあんな事があったせいかなんか……
なんか……?
「視線を感じる?」
朝のSHRが始まる前の賑やかな教室で、ぽつりと呟く。
その声はクラスメイトに届くこともなく、目の前で頬杖をしながら単語帳を見つめる私の親友のひーちゃん――清野 緋衣(セイノ ヒイ)が微かに反応した。
ゆっくりとこっちを向いてちょっと食いついた目で私を見る。
「なに、恋の予感?」
「ひーちゃん。そんな可愛いらしいものなんかじゃないよ」
「可愛らしいってあんたねえ……」
短い髪をそっと掻き分けて、単語帳をパタリと閉じた。
ボーイッシュで女の子にもやけにモテる女のひーちゃんのため息はどことなく色っぽい。
「ストーカーか何かとかでも言うの?」
「それともまた違うような気がするんだけど……」
恨まれるような事なんて私してないと思うし……
変に目を付けられるようなこともしてないと思うんだけど……
何かを感じて、それを探してしまう。