ワケありルームシェア
信用って………。
「信用とかはいつ話してもらったとかじゃないと思うんですけど。話してもらったらもう信用されてるってことなんじゃないですか?」
部長、またそれ以外の人も唖然とする。
僕がこんなに喋ったのが初めてだから?
だけど、すぐに言葉が返ってくる。
「ま、そうだな。」
「緋山はいいこと言うなぁ。」
「理駆と違う。」
「まぁね。僕がいいこと言ったらおかしいでしょ?」
理駆先輩が笑いながらいう。
いい事なんかじゃなくて……、
「僕が思ったことを言っただけです。」
嘘とかつくのが面倒。
バレた後に問い詰められるのも面倒。
だったら思ったこと全部言っちゃえばいい。
まぁ、聞いたら大変そうなものは聞かないけどね。



「準備出来ました。暑いから気をつけてくださいね。」
鍋を運んでくる哀川さん。
鍋の大きさと体の大きさがあってないと思うのは僕だけだろうか。
「よし、いただきます。」
部長を初めてして、各々がいただきます、と口を揃えていう。
「んー!うまっ!」
「あっつい!」
「今更気づいたんだけど、7月に鍋パーティーっておかしいよねぇ。」
「気づくの遅い。」
「よ、喜んでもらえて嬉しいです!」
本当に嬉しそうに花を咲かせる。

その笑顔を見ると僕はなぜだか分からないけど、視線を動かすのを忘れてしまう。
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