無気力王子とじれ甘同居。



「松下くん、ごめんなさい。学校でマナーモード切るの忘れて気付かなくて…それで」



「あいつといるのが楽しすぎて俺のこと忘れてたんじゃねーの」



「え…」



あいつって…大貴のことを言ってるの?


「忘れてなんか…」


「何それ」


松下くんは、私の左手首を見てイライラしたような口調でそう聞いた。


「え、えっと…大貴が…あの、幼馴染みで…それで私が気に入ったから買ってくれた…」


「ふーん。幼馴染みがブレスレットね」



松下くんは、ソファから立ち上がると、ゆっくりと私の方へと近づいてきた。



ああ、なんだか嫌な予感。


こうなる松下くんは私には止められない。


それに今日はなんだかすごく不機嫌だから余計と。


「祐実ってあいつと付き合ってんの?」


「えっ!付き合ってないよ!そんなわけないじゃん」


私は慌てて否定する。


「なんでそんなわけないの?好きじゃないの?」


松下くんは一歩、また一歩と私との距離を縮めてくる。



「なんでって…幼馴染みだから…そういうのとは違うの。お互いに恋愛対象じゃない」


「へ〜」


───トンッ


っ?!


片方の口角だけあげて不敵な笑みを浮かべる松下くんに、とうとう壁まで追い込まれた私。


松下はブレスレットをした私の左手首を捕まえると、壁にその手を押し付けた。



何これ…。


松下くんが…近いっ。



あまりの近さになんだか恥ずかしくなって目をそらす。



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