無気力王子とじれ甘同居。
「はははっ、ひでー」
松下くんは体を仰向けにすると、手首を鼻筋においてから笑った。
「どうなのよ」
「したいときにする、それだけ」
あぁ、この人やっぱりそれなりに遊んでるんだな。
私の気持ちなんて、どうでもいいんだ。
「…初めて…だったのに」
私は、松下くんに背中を向けてから小さくそう言った。
私だって、松下くんにとっては親戚のおばさんにしか見えなくても、ちゃんと大事にしたいものがあるこれでも一応乙女なのに。
やっぱり松下くんは、自己中で自分勝手だ。
「…祐実?」
松下くんは、いつもの何十倍も優しく私の名前を呼んだ。
その声に勝手に音を鳴らす心臓にただただムカついてならない。
ほんっと、ただ顔と声がいいだけなのに。