跳んで気になる恋の虫
えっ?それってどういう意味……?
虫屋は、ポンと膝を叩いて立ち上がって言った。
「俺もオスなんで、鳴いていいですか?」
「えっ?なに?いきなり……」
「初めてなんで、上手に鳴けるかわからないけれど、そこで聞いててください」
虫屋は、空に向かって大声で叫んだ。
「俺はーーー!飛島さんが好きだーーーーー!」
えっ、ええええーーーーっ!
ものすごくびっくりして、放心状態の私に虫屋が言った。
「嫌なら逃げてください。10秒たって、まだここにいたら、飛島さんを捕まえますから」
へっ?
虫屋は、両手で目を塞いで数を数え始める。
「10・9・8・7・6・5・4・3・2・1……ゼロ」