僕等の青色リグレット


だいたいは分かったけど、カケルくんのお母さんが入院したのは赤ちゃんを無事に産むためであって、カケルくんのせいとは思えない。

カケルくんはどうして自分のせいだと思ったのか尋ねると、彼は大きな目をぱちくりさせて、私の顔を見た。


「だってぼく、赤ちゃんにやきもちやいたから。お母さんにかまってほしくて、わがまま言ったの」

「どんなわがまま?」

「ようちえんの運動会を見に来てほしいって、来てくれなきゃぜったいにやだって言った」

「そっか、それでお母さん無理しちゃったと思ったの?」

「……うん」


再び泣きそうになったカケルくんの小さな頭をそっと撫ぜる。

その隣で晴登くんが「カケルは馬鹿やなぁ」と呟いた。


「カケルの母ちゃんは無理なんかしてねぇぞ。母ちゃんだってカケルが頑張って運動会に出てるところを見たかっただけや。お前のわがままなんかじゃねぇよ」

「そうだよ、私もそう思う」

「カケルは良い子や、良い兄ちゃんになれるぞ。赤ちゃんはきっとカケルに早く会いたくて出てこようとしちゃたんやろうなぁ。でもまだ生まれるには早いから飛び出さないように母ちゃんと寝とかないといけねぇーんだ」

「……ほんと? ぼく良い子?」


にっこり笑って頷いた晴登くんは、カケルくんの背中をポンポンッと叩いた。


「カケル、約束を守ることも大事やけど、1番大事なんは守るために努力することや。カケルは母ちゃんとの約束を守るため頑張ったやろ?」

「うん」

「なら、それで良いんや。例え間違えてしまっても、その分また努力したらいいんや」


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