寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
テオは口元が緩むのを我慢できず、笑い声を抑えるように顔を天井に向けた。
ワインの酔いに後押しされているとはいえ、セレナの本音を知る事ができ、嬉しくて仕方がない。
嫉妬するセレナが愛しくてもっと言わせてみたいと思うが、それ以上に優しくしたくなり彼女の耳元に口を寄せた。
「俺の気持ちはセレナひと筋なんだけどな」
クラリーチェもアリスも関係ない。
クラリーチェと親しくく見えたのなら、それはセレナと結婚するために必死だったからだ。
周囲に気取られる事なく、焦らず進めなければならなかった計画のために、テオもカルロもクラリーチェも真剣だったからだ。
アリスも愛する男性と結婚したい一心でテオの隣で笑い、父親である公爵の目を欺いていたのだ。
セレナがそれを誤解し嫉妬していたと聞けば、セレナには申し訳ないが弾む気持ちは隠せない。
ここまで涙を流し嫉妬するほど好かれているとは……。
「そうかそうか。セレナは俺の事がそんなに好きなんだな」
機嫌よく呟くテオを見つめ、セレナはコクコクと何度も頷く。
それがあまりにも可愛らしく、テオは目尻を下げた。
セレナへの想いに忠実な、単純なオトコなのだ。