涙が落ちたあの日から
*不の連鎖
外に出ると夕暮れ。
昼間より風も強くなり、肌寒く感じる。
手に持っていたカーディガンを羽織る。
ふと海を見に行きたいなぁ……と恋しいように思うのも、こんな季節はずれの夏の終わり。
拓真グループに狙われたりしなければ、きっとMoonの曲をBGMに聴きながら、ふらっと海へ行っていたと思う。
夜にこうやって出歩くのも、久しぶりの気がする。
帰宅する人の波に逆らうように、私は街の外れにある飲み屋街の方へ向かった。
自分の気持ちがわからなくて……。
拓真に狙われていることも、何かあれば匡が助けてくれるって、どこかで油断していたのかもしれない。
なんでフラフラと、こんな所に出て来てしまったのか……。