涙が落ちたあの日から
「久しぶり」
"飲み屋通り"という、色んな飲み屋が並ぶ通りに入った時、突然声をかけられ振り向くと……。
「……ショウコさん……」
私の後ろに、ショウコさんが一人立っていた。
あの夏の日――――。
ショウコさんの住むマンションのベランダで見た2人のシルエット。
あの後すぐ、カフェバーも辞めてしまったから、ショウコさんを見るのも、あれ以来だった。
久しぶりに見るショウコさんは、さらに派手になった気がする。
「……」
カフェバーを辞め、2度と会いたくない……。
会わないようにって思って生活してたのに……。
健斗とショウコさん、2人の姿なんて見たくない……そう思っていたから、カフェバーの近くも通らなくなって、2人がいそうな場所やお店も極力近づかないようにって思っていた。
だけど、こんな飲み屋の多いところへ、私が来てしまったから……。