涙が落ちたあの日から
「奥田さん、どうしたのー? 大丈夫?」
仲間のスタッフが事務所を覗く。
「あ、ごめんなさい。すぐ戻ります」
「なんだか奥田さん、最近ああいう人に声かけられること増えたねー」
「……」
今週に入って何度目だろう……。
バイト先のコンビニにまで来るようになるなんて……。
数日前までは、外で声をかけられたりすることはあったけど……なんで私が、拓真グループの奴らに目をつけられているのか、まったくわからない……。
カフェバーのバイトの時に、拓真に何かやらかしてしまったのかって、何度も考えたけど何も思い出せなくて……。
思い出すことといえば……。
健斗とショウコさん、2人の姿……。
嫌な思い出……。
「はぁ……」
私は大きくため息をついた。
もう……なんで、こんな嫌なことばっかり続くんだろう……。