涙が落ちたあの日から



霧雨が降る雲間から、光が差し込んだ。





まるで、匡の体を包むように、暖かいやわらかい光が――――。
















『泣き虫』














え……?

















『もう大丈夫だから 泣くな』













――――あの時と同じ言葉……。














音を立てるように落ちる涙。





その瞳の向こう。





美しく眠る匡の横顔。







『もう泣くな』





匡の気持ちが見えた――――。












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