エリート上司の過保護な独占愛
「やっぱり……」

 がっくりとうなだれる沙衣に、裕貴は必死で説明を続けた。

「でもそれは、沙衣が綺麗になったせいで、他の男も君の良さに気が付きはじめてしまった。それに焦ってしまったんだ」

「えっ……他の男性?」

 こういったことには、特に鈍い沙衣は大迫のわかりやすいアプローチでさえ気がついていなかった。そのことに、裕貴は感謝する。

「確かに、最初は恋愛感情とは違ったけれど、好感は持っていたんだ。でもせっかく俺が見つけて、ずっと大事に育ててきたのに、後からきた男に持っていかれるなんて、まっぴらだって思った。そのとき間抜けなことにやっと自分が紗衣のことを好きなんだって気がついたんだ」 

 裕貴の告白に、さっきまで涙がにじんでいたはずなのに、今度は心臓がドキドキと音を立てて、頬が赤くなった。

「たとえ紗衣どう思っていようとも、俺の気持ちは変わらない。紗衣が納得できるまで気持ちを伝え続ける。そうやって自信がないのは、俺のせいだろう?」

「ちがうっ!・・・・・・それは私がっ」

 焦って否定する紗衣に、裕貴はゆっくりと左右に首を振った。

「君をそんなに不安にさせるのは、俺の責任だ。だから俺から離れようなんて考えられないほど、俺の気持ちを伝えていく。今このときも、明日二十六歳になる瞬間もそしてその先もずっと側にいたい。自分がそんなに信じられないなら、俺のことを信じて欲しい」

 裕貴の言葉に我慢していた涙が、あふれてしまう。頬を伝うそれを拭おうとしたが、その前に裕貴の手が伸びてきて、それを拭った。

「好きなんだ紗衣。一言でいい表せないほど・・・・・・君のことを大切に思っている」

 その言葉を聞いた瞬間、涙腺が崩壊した。とめどなく流れる涙を裕貴の指が優しく拭う。我慢できずにしゃくりあげる紗衣を、愛おしそうに裕貴が見つめていた。

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