エリート上司の過保護な独占愛
 会社を出てふたりが向かったのは、絵美と慎吾が待ち合わせをしている居酒屋だった。以前裕貴も交えて四人で行ったところだ。沙衣の状況を見てその方がゆっくり話せるだろうという、絵美の配慮だった。

 中に入ると、すでに慎吾は座って待っていた。

「あれ? もう来てたの?」

 絵美の言葉に慎吾ががっくりとうなだれる。

「そんなふうに言わなくてもいいだろぉ。楽しみにしてたのに……あれ沙衣ちゃん?」

「ごめん、ごめん。ちょっとのっぴきならない事情で、さ」

 あははと豪快に笑う絵美と、しょんぼりしている慎吾を見て、ここに来たことを後悔した。ふたりの楽しい時間を邪魔したくない。

「あの、私……今日はやっぱり帰ります」

 そう言った沙衣の腕を、絵美ががっつりとつかんだ。

「逃がさないわよ。このまま帰したら、気になって眠れやしない」

「そうだよ。当たられるのは俺なんだから、ほら、座って」

 そのまま強制的に座らされた。

 適当に注文を済ませると、絵美が座り直し前のめりになる。

「さぁ、何があったのか話しなさい」

 すぐに尋問が始まった。ふたりに気を遣った慎吾は黙ってうなずいて話を聞いていた。

「実は……私、もう気持ちがぐちゃぐちゃで。課長……今日は女性と一緒かもしれないんです」
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