エリート上司の過保護な独占愛
 今日で四度目となる裕貴の部屋。駅からはそう距離もなく、すぐにたどりついた。

 聞いていたオートロックの番号をパネルに入力して、エレベーターで部屋のある五階へと到着する。そこの角部屋が裕貴が暮らす部屋だ。

 鍵穴に鍵を差し込んで回し、ゆっくりと扉を開けた。中はまだ真っ暗で裕貴が帰宅してないことがわかる。主不在とはわかっているけれど「おじゃまします」と声をかけて、電気をつけて中に入った。

 これまでは常に裕貴が一緒だった。そのせいかなんだかいつもと雰囲気が違うように感じる。

 ダイニングのテーブルには、今朝の新聞が置いてあり、キッチンのシンクには使った後のマグカップが置いてあった。2DKの部屋のいたるところに彼を感じる。

(いつでも来ていいって言われたけど……まさか今日来てるとは思わないだろうな)

 そう思うと、なんだかこの行動が迷惑かもしれないと思い始めた。一言でも電話で断りを入れるべきだったかもしれない。

 荷物を抱えたまま、ソファに座る。バッグからスマートフォンを取り出して裕貴に電話をかけてみた。とりあえず部屋で待っていることは伝えたい。

 しかし数回の呼び出し音の後、留守番電話に繋がる。

「はぁ」

 ため息をついてSNSでメッセージを送ろうとしたそのとき、玄関からガチガチャと鍵を開ける音が聞こえてきた。
< 147 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop