エリート上司の過保護な独占愛
「いえ、職場でする会話ではなかったです……私こそ軽率な行動でした」

 しかし裕貴は納得しない。

「いや、あれは完全に大迫が舞い上がっていた。まぁ、その気持ちもわからないではないけどな」

 その言葉の意図がわからずに、首を傾げた紗衣に裕貴ははっきりと言った。
「本城、すごいイメチェンだな。その短く切った髪も似合っているし、眼鏡をやめたおかげで、今まで隠れていた明るい表情がよくわかる。洋服も今までのことを知っている俺なんかから見れば意外だけど、新しい本城によくマッチしてるよ」

 さっきまで否定されたような気になっていたのに、急転直下の出来事に心がついていかない。けれどうれしさは体中に駆け巡り頬を紅潮させていく。

「本当に、かわいいよ」

(課長が、私をかわいいって言った――!)

 喜びで飛び上がりそうになるのを、なんとか我慢した。

「あ、ありがとうございます」

 ちゃんと見ていてくれたこと、そして努力を認めてもらえたこと。なによりも好きな人に『かわいい』と言ってもらえたこと。

 紗衣はうれしくて喜びで赤くなった顔で、裕貴を見つめた。

 至近距離で目が合う、すると裕貴が少し照れたような表情を見せた。

 お互いなんだか気恥ずかしくなる。しかしエレベーターの中の雰囲気はあたたかいものだった。
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