エリート上司の過保護な独占愛
 そして月曜日。裕貴は宣言通りミーティングで昨日紗衣が話をしたことを議題にした。具体的には、総合繊維商社であるミカドのノウハウをお客様に提供することで先方の業務の低迷している部分を補い、活性化させることで受注数を増やそうというもの。

「みんな、どう思う?」

 裕貴が皆の意見を促す。

「一社だけ、そのような特別な扱いをするのはどうなんでしょうか?」

 営業社員からの指摘に裕貴が答えた。

「たしかに、今は一社だけの話だ。しかしこれが成功したら、モデルスキームができあがる。俺達の営業の幅がひろがるんだ。試してみたいと思わないか?」

 皆が彼の言葉を真剣に聞く。

「他の部署を巻き込んでの話になってくる、まずは各部署等に話をふってみないといけないが、我が社が総合商社である強みが活かせる場面だと思うんだ」

 話を聞いているうちに、本当に実現するのではないかと思えてきた。裕貴の言葉にはそう思わせる強さがある。最初は難しい顔をしていた者も、彼の話にうなずきはじめた。

「俺、やってみたいです! 本来なら、担当である俺が気が付かないといけないことなのに……だからこそ、この案成功させたいです!」

 大迫がやる気にみなぎった表情で、手を挙げる。それをみたメンバーもうなずいた。

「じゃあこの話は、大迫と本城が中心にすすめてくれ。期待してるぞ」

「えっ⁉」

 急に自分の名前が上がり驚いた。しかしそんな彼女見て、裕貴は苦笑した。

「君の企画だ。君がやらなくてどうする?」

 たしかに、最初に思いついたのは紗衣だ。しかしこんな大がかりな仕事に携わったことなどない。

(私にできるの?)

 不安を隠せずに、裕貴を見る。まっすぐに紗衣を見てゆっくりうなずいた。そこに期待と信頼を感じた紗衣は「がんばります」と答えたのだった。
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