エリート上司の過保護な独占愛
 ただここで押し問答するのも違うような気がして、素直に持ってもらう。

「いつもすみません、なんか気を遣ってもらって」

「いいよ。紗衣ちゃんの為ならなんでもないよ」

 白い歯を覗かせて、ニコッと笑う大迫。

(私のため・・・・・・? 別にそんなに困ってないのにな)

 笑顔を向けられたので、とりあえず笑顔を返し、もう一度タープに向かって歩きだしたとき、裕貴がこちらに向かって歩いてきているのに気がついた。

「天瀬課長――」

 目の前にいる裕貴に挨拶をしようと、紗衣が声をかけたがその前に裕貴の手が紗衣の荷物を持った。

「こっちは、俺が持つ」

「いえ、課長に持ってもらうわけにはいきません」

 まさか上司に荷物を持たせるわけにはいかない。焦って取り返そうとするけれど、上に掲げられてしまった。そうなってくると身長差が十五センチはあるのだ。紗衣に届くはずはない。

「いいから、こういうのは男の仕事だから」

「えっと、でも・・・・・・」

「それより、濱中が探してたぞ。野菜を切るから〝見守ってくれ〟って。身守るって何だ?」

(きっとまだ、包丁使うの不安なんだ……)

「何でしょうね……? とりあえず行ってきます。荷物お願いします」

 紗衣は離れた場所にある炊事場に向かった。

 取り残された男ふたりの間に、妙な空気が漂ったことなどまったく知らずに、絵美が包丁で怪我をしないことだけを祈っていた。
 
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