御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
(始さんが知ったら、どう思うかな……)
少しくらいは妬いてくれるだろうか。
いや、仮に始がこのことを知ったとしても、「友達が多いのはいいことだよね」なんて言って、笑うのが関の山だろう。
彼なら、嫉妬してほしいと思う早穂子の気持ちを汲んで、かわいいやきもちを焼くふりをするかもしれないが、そもそも試すようなことはしたくないし、無意味だとわかっている。
山邑始は絶対に嫉妬なんかしない。
【週末、泊まりに行ってもいい?】
始からメッセージが届いたのは、それから十日ほど経ったある日のことだった。
オフィスのリフレッシュルームでお弁当を食べていた早穂子の心臓が、スマホを見てぴょこんと跳ねる。
今日は水曜日なので、金曜日は明後日、すぐだ。
(もちろんです……!)
早穂子はすばやく返事をして、脳内で土日の予定を立て直すことにした。
土曜日に美容院にいくつもりだったが、それでは遅い。
まず今日か明日の仕事帰りに変更だ。カットだけでなく、ワンランク上のトリートメントもやってもらおう。
あと、部屋の掃除も念入にやらなければならないし、シーツやリネンも、新しいものに変えておきたい。