御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
ふたりでベンチに座り、景色を眺める。
目いっぱい広がる芝生の上では、子供たちがあたりを走り回っていた。
先に口を開いたのは鳥飼だった。
「俺があんまり長い間彼女作らないから、鶴田が心配しててね。君に連絡を取ったのかって、ずっとうるさくて。連絡してないって言ったら、こういうことに」
「なるほど……」
「蓮杖さんは俺のコトなんかまったく気にしてないよって言ったんだけど、しつこくてさ。せっかくの休みにごめん」
鳥飼がペコッと頭を下げるのを見て、早穂子は慌てて首を振った。
「ううん、いいの。これはこれで楽しんでるから。気にしないで」
早穂子の言葉に、鳥飼はほっとしたように眼鏡の奥の目を細めた。
「鶴田はさ、ちょっとおせっかいだと思うけど、まぁいいやつだよ。夏川さんとお似合いだと思う」
それから長い足を組んでぼうっと景色を眺めた。
彼の横顔は穏やかで落ち着いている。
自分にもし始がいなければ――きっと純粋に、一人の男性として素敵だなと思うような横顔だ。
鳥飼はどこからどう見ても、普通に彼女がいていい雰囲気なのだが、本人に作る気がないというのが少しだけ不思議だった。