御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
壁には水彩の風景画がいくつか飾られていて、センスのいい友人の家に招かれたような、そんな懐かしさを感じる。
(かわいいお店……)
早穂子が店内を見回していると、
「いらっしゃいま……あっ、和弘くん!」
白いシャツに黒いスカート、そしてカフェエプロンを付けた女性が、目を輝かせて近づいてくる。
年は早穂子より少し上くらいだろうか。
明らかに色素が薄く、彫りが深い。ハーフかクォーターなのだろう。くるくるの巻き毛に、頬にそばかすが浮いた、まるでレオナルド・ダ・ヴィンチが描く天使のような、魅力的な女性だった。
「久しぶり」
鳥飼は彼女に向かって穏やかに笑って、それから後ろに立っている早穂子を振り返った。
「ふたりでランチしたいんだけど。まだ大丈夫かな」
「あらあら、まぁまぁ!」
彼女の視線が自分に注がれているのに気が付いて、そこで早穂子は、ぺこりと頭を下げる。
「素敵な女の子だわ、もしかして和弘君の彼女!?」