御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~

そして少し癖のある髪をかき上げたあと、体の前で腕を組み、始は鳥飼と早穂子の顔を見比べる。

『邪魔をしたか』という彼の発言に、一瞬目の前が真っ白になった。

足元から血の気が引いて、くらくらする。

「あの……」

どこから見ていたのだろう。
ふたりで部屋から出てくるところ?
それとも告白をされたところ?

もしかして自分たちの仲を誤解しただろうか。

なにか言わなければと口を開くが、言葉が出てこない。

(そもそも……誤解されたからって、始さんはなんとも……)

とたんに、早穂子の胸は、石でも飲み込んだように重くなった。

だが尋常でない早穂子の様子に、鳥飼が気が付いたらしい。

「あの……もしかして蓮杖さんの彼氏ですか」

鳥飼が中指で眼鏡を押し上げて、はっきりと口にする。

それを聞いて、早穂子はひっくり返りそうになった。

「かっ、彼氏!?」
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