御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
始とはそういうのではないと自分に言い聞かせていた早穂子は、慌てて鳥飼に詰め寄ろうとしたが、
「そうだと言ったら、君は俺にどう弁明するの?」
始が低い声でそう言い放ったものだから、また血の気が引いた。
(な、なんでそんなこと……)
「誤解させてすみません、と言いますよ。でも俺は部屋には上がってないんで」
鳥飼の返事に、始は軽く目を細めて鳥飼を見下ろす。
まったく警戒心を解いていない、そういう顔だ。
「いや、本当ですって。彼女の名誉のために言いますけど……たった今きっぱりと振られたばかりですから」
「鳥飼さん……!」
そもそも、家に来てほしいと言ったのは自分だ。
しかも彼は部屋の中に招き入れようとした早穂子を、やんわりと押しとどめたくらいの紳士である。
わざわざ身の潔白を証明するために、振られただなんていう必要はまったくないだろう。
だが鳥飼は首を振って、早穂子を肩越しに振り返る。
「いや、言っておいた方がいいだろ。俺、このままだとこの人にくびり殺されそうだし……」
鳥飼はそう呟いて、またまっすぐに始を見返した。