御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「――恋をしているみたいに楽しんでほしいって始めた関係だけど……さすがの俺も、君が俺をとても大事に思ってくれていることくらい、わかってるよ」
始の告白に、心臓が飛び出そうになった。
「始さん……」
好きだと言えば困らせると思って、黙っていた。
重い女だと思われたくなかった。
(でも、そうだよね……)
人の心に聡い始が気づかないわけがないし、優しい彼が早穂子の気持ちをそのまま打ち捨てることもしないないのだ。
始はなんだか困ったように微笑んだ後、軽く息を吐く。
「俺さ……実は兄貴がいて。俺が小学生の時に、山で死んだんだ」
「……」
始の突然の告白に、早穂子は頭をガツンと殴られたような気がした。
(お兄さんがいて……亡くなった?)
当然、言葉も出ない。
「もう、二十年以上前のことだよ。当時、兄貴は両親と少し折り合いが悪くて……。天気が崩れるという予報を無視して、たったひとりで高山に登って……。雨で足を滑らせてがけ下に滑落した」
始はぼんやりと天井を見上げながら、さらにぽつぽつと言葉を続ける。