御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~

あまりにもマジマジ見つめられているので、ドキドキして、ごくりと息をのんでしまった。


「――急に抱きしめたりしてごめんね。いやだったでしょ」


始が笑う。


「いっ、いやだなんて、そんなっ……」


早穂子はプルプルと首を振った。


「じゃあいやじゃなかった?」


さらに始がからかうように問いかけてくるので、早穂子は真面目に

「はいっ……!」

と力いっぱいうなずいて、次の瞬間、ハッとした。


これではいくらなんでも言い方が悪い。

慌てて言葉を続けた。


「あの、安心するっていうか、フワフワするっていうか、このまま眠れそうでした……!」
「アハハッ……そっか」


始はそこでようやく腕の力を緩める。

重なっていた体が離れると、急に寂しい気分になった。


< 24 / 276 >

この作品をシェア

pagetop