御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
あまりにもマジマジ見つめられているので、ドキドキして、ごくりと息をのんでしまった。
「――急に抱きしめたりしてごめんね。いやだったでしょ」
始が笑う。
「いっ、いやだなんて、そんなっ……」
早穂子はプルプルと首を振った。
「じゃあいやじゃなかった?」
さらに始がからかうように問いかけてくるので、早穂子は真面目に
「はいっ……!」
と力いっぱいうなずいて、次の瞬間、ハッとした。
これではいくらなんでも言い方が悪い。
慌てて言葉を続けた。
「あの、安心するっていうか、フワフワするっていうか、このまま眠れそうでした……!」
「アハハッ……そっか」
始はそこでようやく腕の力を緩める。
重なっていた体が離れると、急に寂しい気分になった。