御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
(なんだかひとつに溶けちゃうような気分……っていうか……信じられないくらい、眠い……かも……)
この状況でこんなことを考えてはいけないと思ってしまうのだけれど、正直とても心地よくうっとりしてしまう。
始の腕の中で目を閉じたら、きっと気持ちいいだろう……。
(そんなことありえないけど……)
それからしばらくして。
「大事な電話って出て行ったから、仕事に戻られたのかも」
「残念だなぁ~!」
と、声が遠くなっていく。
そしてゆっくりと、元の静けさが戻ってきた。
(いなく……なった?)
「――ん……いいみたいだね」
始の声がぴったりと重ねた体の中から響く。
「そう、みたいですね……」
早穂子もうなずいて同意したが、彼の腕の力は緩まなかった。
どうしてだろう。
「あの……?」
顔を挙げると、自分を見下ろしている始と至近距離で目があった。