御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
波佐見焼の工房は観光客でにぎわっていた。
一階はアトリエになって、二階が販売フロアになっている。
木の床をぜいたくに使った大きなフロアで、モダンなものからどこか懐かしさを感じさせるデザインの食器やインテリアが、十分な余裕を持って飾られていた。
「わあっ……!」
こんなにたくさんあったら、目移りしてしまう。
早穂子は目を輝かせながら辺りを見回した。
(さすが本場! デパートの催事よりたくさん物が置いてある~!)
「目がキラッキラだね」
隣に立っていた始が、くすっと笑いながら顔を覗き込んできた。
「あっ……すみません」
「どうして謝るの」
「はしゃいでしまったと思って……」
一瞬、始が隣にいることを忘れていたのだ。
かすかに頬が熱を持つ。
「いいじゃん。俺、女の子が喜んでいる顔を見るの、大好きだよ」