御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
比べるのもおこがましいが、スキニーデニムに白いシャツというごく普通の自分が、少しだけ恥ずかしくなった。
「ところで山邑くん。私、あなたが来るって聞いてなかったんだけど」
ボブの髪を耳にかけながら首をかしげる。
耳につけた大ぶりの金のピアスがきらりと光った。
「そりゃー言ってないもん。朝、思い立って来たからさ」
「まぁ……相変わらずね」
彼女は、始の悪びれた様子もない態度に一瞬目を丸くしたが、すぐに可愛らしく笑って、始の隣に緊張して立っている早穂子に向かって微笑みかけた。
「ようこそ。この工房のオーナーの柳町涼音(やなぎまちすずね)と申します」
「はっ……初めまして、蓮杖早穂子と申します」
早穂子は緊張しながら、頭を下げた。
始が社長と呼んだのは、まさに彼女がオーナーだからということらしい。
「蓮杖さん……」
涼音がなにかを思い出そうと早穂子の名前を口にするのを見て、早穂子は慌てて首を振った。
「あっ、あの、私、何者でもないですっ……」