御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
新婚というのは初耳だったが、始の親友とも呼べる男性が新婚だと聞くと、妙に早穂子の胸はざわめくのだった。
それからタクシーに乗り込んで、山邑リゾートへと向かう。
海沿いの丘を登る途中で、南国の植物が茂る中に白亜の建物が見えた。
「あ、見えてきましたね!」
後部座席の早穂子が窓に顔を寄せて声を上げると、
「あれが本館だよ」
と、助手席の始が振り返った。
「はい、すごく楽しみです!」
もちろん社員なのでここがどういう施設か知っているが、実際に見るのと写真ではわけが違う。
早穂子はワクワクしながら徐々に近づく山邑リゾートの門を見つめた。
やがてタクシーは門をくぐり、アプローチを通って玄関先に到着した。
タクシーから降りると、制服姿のスタッフが姿を現し、涼音の荷物をタクシーのトランクから下ろす。