秘密の陰陽師 【肆】上




俺は慌てて電気をつけた




「おい!!葵!!どうしたんだよ!」




「はあはあ…っく…あっ…」




声をかけてもこちらを見ることなく苦しみ続けている




心臓がドクっと嫌な音を立てる




「たっ…す…け…て…」




かろうじて聞こえる助けを求める声




「おい!!葵!!しっかりしろ!!」




なにが起こっているか分からない異常な事態に恐怖さえも覚えた




だが今は俺しかいない




とっさに考えたのは術で葵を眠らせることだった




俺は印を組み




「眠訝」




そう唱えた。



この術は人や動物、妖などの、生きているもの全てを眠らせることができる術だ




「っく…はっ…」




術を唱えてから三秒だった頃だろうか、苦しみながらも葵は目を閉じた



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