秘密の陰陽師 【肆】上




「あたし…すっごく怖い夢を見た気がするの」




葵は涙を流しながらそう話す




「ああ…大丈夫か?」




細い身体をぎゅっと抱きしめ、そっと頭を撫でた




「どんな夢かは覚えてないの。
でもね、すっごく苦しかったのは覚えてる」




まただ…葵は自分の身に起こったことに対しての記憶がない




なんで…何も覚えてないんだよ




最近起こっていることの全てが普通じゃない
なんでいつも…葵が苦しまなきゃならないんだよ




グッと拳を握りしめた




「でもね、舜の顔見たらすっごく安心した!」




俺の腕からパッと離れ、溢れる涙を拭きながらニコッと笑う




俺もお前が目を覚ましてどれだけ安心したか分からないだろ




「汗びっしょりだから部屋のシャワールームでシャワー浴びてきてもいい?」




「ああ行っておいで」




震える手でもう一度葵を抱きしめた




「心配させちゃってごめんね」




少し悲しい顔を見せた葵はベッドを降りシャワールームへと姿を消した




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