側婚
それに…。

「あら、福永さん。来ていたのね」

「こんにちは。長倉さんの奥さん」

福永さん! まだ居たの!!!

もう帰ったかと……。

「うちの自動販売機はどうですか?
何か不具合や、要望などはありますか?」

「いえ。無いわ。大丈夫よ」

それに福永さんは大手メーカーの自動販売機の営業マンで、1カ月前にうちの食堂に営業に来て、食堂前に2台自動販売機を設置した人なのだ。

そして、それがきっかけとなり、福永さんは週に2、3回ほど、うちの食堂に食べに来る常連さんになったのだ。

そのため福永さんは

「奥さん、今日もキレイですね」

「でしょう?」

奥さんととても仲が良い。

もちろん。

「お父さーん!
福永さんが私の事キレイですって!!」

「そいつにお世辞を言ったって、台数は増やさないからな!!!」

「ですって。
ごめんなさいね」

「残念です!!!」

「「アハハハハハハハ」」

長倉さんとも。

なのに私は……。

「福永さん…」

「はい」

結婚…。

「結婚しないの?」

結婚!?

カチャ。コロコロコロコロ…。

ストップ!!!

私はテーブルから落ちそうになったお箸を止める。

「結婚は…

考えている人が居ます」
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