側婚
「結…声が大きいよ……。
周りの人達に迷惑だよ……」

帆乃日が小声で私の耳元にささやく。

「お母さん!!!」

「結…」

「怖かったの…」

「…えっ?」

「お父さん…階段から落ちた時…頭打ってたみたいだから…検査で異常がないって言われても…怖かったの…。
突然……死んじゃうんじゃないかって…」

「……お母さん…」

「それで泣いて結に電話したのか?
馬鹿だな」

「馬鹿って…」

お父さんがお母さんを。

「あっ…」

はっ?

「泣きたいなら…俺の側で泣けばいい」

きつく抱きしめ…。

「うん…」

お母さんは涙ぐみながら、お父さんをきつく抱きしめ返し…。

「ラブラブだね…」

帆乃日は二人をうらやみ…。

「カーテン…」

私は二人を隠したくて…カーテンに手を伸ばそうとした時。

♪♪~♪~。

私のスマホの着信音が鳴る。

誰?

私はゆるゆるのズボンのポケットの中からスマホを取り出すと、画面を見る。

「帆乃日。
私、電話に出てくるね」

「えっ?」

「カーテン閉めてね!!」

私は早足で病室から出ると、階段に行き、電話に出た。


「もしもし」
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