側婚


「右足の骨折?」

確かに病室のベッドの上に居るお父さんの右足にはギプスが。

「ああ。
階段から足を踏み外してな」

「そう……」

右足の骨折……。

「帆乃日ちゃんも来てくれたんだね。
ありがとう」

「いえ。
思ったより、元気そうで良かったです…」

「お母さん……」

私はイスに座り、お父さんの左手を握って、微笑んでいるお母さんをにらむ。

「お母さん……。
さっきの電話は…何?」


今から約30分前…。

《うう~~~……》

《お母さん、何で泣いてるの?
何かあったの?》

《むすびぃ~ううう~~…》

《お母さん、泣いてても私は何があったか分からないよ?》

《むすびぃ~~ううううう~…》

《お母さん、まず落ちつこう。ねっ? 落ちついて…》

《ううううう~~~…》

《お母さん……》


「…それからゆっくり時間をかけて、“お父さん”、“白立(しらたて)総合病院”を聞き出して、お父さんの命が危ないと思って、帆乃日と一緒に急いで来たのに…」

髪はセットせず、ノーメイク、穴が開いた上着に、ゆるゆるのズボン、ボロボロのサンダルで来たのに…。

「命は危なくないじゃん!!
何で泣いてたのよ!!!」

意味分からない!!!
< 36 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop