側婚
「右足の骨折?」
確かに病室のベッドの上に居るお父さんの右足にはギプスが。
「ああ。
階段から足を踏み外してな」
「そう……」
右足の骨折……。
「帆乃日ちゃんも来てくれたんだね。
ありがとう」
「いえ。
思ったより、元気そうで良かったです…」
「お母さん……」
私はイスに座り、お父さんの左手を握って、微笑んでいるお母さんをにらむ。
「お母さん……。
さっきの電話は…何?」
今から約30分前…。
《うう~~~……》
《お母さん、何で泣いてるの?
何かあったの?》
《むすびぃ~ううう~~…》
《お母さん、泣いてても私は何があったか分からないよ?》
《むすびぃ~~ううううう~…》
《お母さん、まず落ちつこう。ねっ? 落ちついて…》
《ううううう~~~…》
《お母さん……》
「…それからゆっくり時間をかけて、“お父さん”、“白立(しらたて)総合病院”を聞き出して、お父さんの命が危ないと思って、帆乃日と一緒に急いで来たのに…」
髪はセットせず、ノーメイク、穴が開いた上着に、ゆるゆるのズボン、ボロボロのサンダルで来たのに…。
「命は危なくないじゃん!!
何で泣いてたのよ!!!」
意味分からない!!!