Sweet Love
「実は、…翔くんと初めて会ったのは高校からではないんです」
「……え」
そう聞いて、わたしは驚きを隠せずに目を丸くした。そんなの今初めて知ったし、萩原くんは何も言ってなかった。
「本当ですよ。翔くんとわたしは同じ小学校でしたから。もうすごく、…仲良かったんです。大きくなったら結婚しよう…なんて、二人で言ってましたから」
彼女は、どこか虚空を見つめている。まるでその頃のことを思い出すかのように、ゆっくりと語り始めた。
「ですが、わたしは家の事情で、小学校二年のときに転校することになったんです。親の離婚が決まって、わたしは父の方についていくことになりました」
時々、表情を歪めながら、彼女は続けた。
「――でも、…ある理由があって、詳細はこの場で伏せますが、中学に上がる頃、わたしは母のところに戻りました。過去に何度か引越しを繰り返し、最終的には戻って来たんです。慣れている土地に。…そして今の高校に入って、翔くんと再会しました」
「あの……萩原くんは、花咲さんのこと…」
「翔くんは覚えてませんでしたよ。わたしのこと」
「…そんな」
「でも昨日、漸くわたしのこと思い出してくれたみたいなんです。それが嘘か本当か、完全に思い出してくれたのか、それはわかりません。でもわたしは心から喜べませんでした。…それまでは全く、面影すら思い出してもらえなかったのに、何を今更って思うでしょう」
…そんなのって、あまりにも辛すぎる。返す言葉も見つからない。
「……え」
そう聞いて、わたしは驚きを隠せずに目を丸くした。そんなの今初めて知ったし、萩原くんは何も言ってなかった。
「本当ですよ。翔くんとわたしは同じ小学校でしたから。もうすごく、…仲良かったんです。大きくなったら結婚しよう…なんて、二人で言ってましたから」
彼女は、どこか虚空を見つめている。まるでその頃のことを思い出すかのように、ゆっくりと語り始めた。
「ですが、わたしは家の事情で、小学校二年のときに転校することになったんです。親の離婚が決まって、わたしは父の方についていくことになりました」
時々、表情を歪めながら、彼女は続けた。
「――でも、…ある理由があって、詳細はこの場で伏せますが、中学に上がる頃、わたしは母のところに戻りました。過去に何度か引越しを繰り返し、最終的には戻って来たんです。慣れている土地に。…そして今の高校に入って、翔くんと再会しました」
「あの……萩原くんは、花咲さんのこと…」
「翔くんは覚えてませんでしたよ。わたしのこと」
「…そんな」
「でも昨日、漸くわたしのこと思い出してくれたみたいなんです。それが嘘か本当か、完全に思い出してくれたのか、それはわかりません。でもわたしは心から喜べませんでした。…それまでは全く、面影すら思い出してもらえなかったのに、何を今更って思うでしょう」
…そんなのって、あまりにも辛すぎる。返す言葉も見つからない。