Sweet Love
「高校に入ったときは、翔くんとまた出逢うことができて、すごく嬉しかった」
彼女は自嘲気味に笑う。
「昔のことを覚えてないと言われても、それでもよかった。わたしは、翔くんに伝えたかったの。好きってことをちゃんと知っておいて欲しかった。だから告白した。それなのに、…翔くんは何の躊躇いもなく、簡単にわたしを振った。恋愛対象として見ることは、できない…って」
朱菜ちゃんの声は、次第に震えていった。唇を噛み締めて、涙を堪えるように。だがそれは、弾けた。
「付き合っても、わたし達、……実際何もなかったんです。…手を繋ぐことはあっても、…キスも何もなか…っ……」
朱菜ちゃんはその場で泣き崩れ、顔を両手で覆い隠す。こもった細い泣き声が聞こえてきた。今まで聞いていたわたしも、瞳からは涙が溢れていた。視界に映る彼女の蹲った姿が、今はボヤけて見える。
――そんな過去があったなんて…悲しすぎる…。
彼女がどれほど萩原くんを大切に想ってきたか。どれほど、会えて嬉しかったのか。初めて、彼女の本当の辛さを思い知った。
「…花咲さん、…ごめんね…」
立ち尽くしながら、わたしは小さく彼女に謝ることしかできなかった。
彼女は自嘲気味に笑う。
「昔のことを覚えてないと言われても、それでもよかった。わたしは、翔くんに伝えたかったの。好きってことをちゃんと知っておいて欲しかった。だから告白した。それなのに、…翔くんは何の躊躇いもなく、簡単にわたしを振った。恋愛対象として見ることは、できない…って」
朱菜ちゃんの声は、次第に震えていった。唇を噛み締めて、涙を堪えるように。だがそれは、弾けた。
「付き合っても、わたし達、……実際何もなかったんです。…手を繋ぐことはあっても、…キスも何もなか…っ……」
朱菜ちゃんはその場で泣き崩れ、顔を両手で覆い隠す。こもった細い泣き声が聞こえてきた。今まで聞いていたわたしも、瞳からは涙が溢れていた。視界に映る彼女の蹲った姿が、今はボヤけて見える。
――そんな過去があったなんて…悲しすぎる…。
彼女がどれほど萩原くんを大切に想ってきたか。どれほど、会えて嬉しかったのか。初めて、彼女の本当の辛さを思い知った。
「…花咲さん、…ごめんね…」
立ち尽くしながら、わたしは小さく彼女に謝ることしかできなかった。