ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

その次は酢飯を作る。


私が調理している間に崇さんが探して洗っておいてくれた寿司桶に熱々のご飯を移した。


「作っておいた寿司酢をかけて、切るように混ぜていく」


「切るように?」


どんな混ぜ方なのかピンと来ず、首を傾げると、崇さんがしゃもじを持って混ぜて見せた。


「こう、粘りを出さないように、さっくりと」


しゃもじは縦に動いていて、なるほど、確かに『切るように』だ。


しゃもじを受け取り、同じように混ぜる。崇さんはうちわでご飯をあおいだ。


「こうやってご飯を混ぜながらあおいで、急速に冷まして、余計な酢を飛ばすんだ。で、艶が出るまで混ぜる」


「一人だと大変そうな作業ですね」

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