君が思い出になる前に…
Parallel world
 パラレルワールド…。
少しずつ違う世界が無数に存在するって話しだ。
あくまでSFの話し。実際にある話しじゃない訳で…。
けど今の状況は、そんな超SF的な事でしか解釈のしようがない…。
突然今朝、目が覚めたら15歳の自分に戻っていて、時間もまるごと15年前に…。だけど意識は30歳のまま。
経験した事もちゃんと思い出せるし。

帰ってきたら存在しないはずの、お袋にそっくりな姉さんがいた。
どうなってんだよ…。


「裕~っ」
女子高生…じゃない、姉さんが呼んでる。
「は、はい…」そんな返事しか、とりあえずできないよ…。さっきの脱衣場での姿が脳裏に浮かぶ。
『裕』なんて呼ぶ人、初めてだ。
お袋だってちゃんと『裕作』って呼んでるし。
なんか嬉しいような照れくさいような、でも悪くないなぁ…。
部屋を出るとキャミソールに短パン姿で、頭にはタオルを巻いたまま、居間のテーブルに彼女がいた。
メガネを外すとかなりの美人!
どこ見たらいいの?15歳の少年には刺激強過ぎ。
30歳のお兄さんには悩まし過ぎなんですけど、その格好は…。
「お風呂、入ったら?」
アイスクリームを食べながら、テレビを見てる。
「はい…」
声が声になってない感じ。
「お袋は?」
姿見えないけど。お姉様に話しかけてみた。
「あんたさぁ、さっきからお袋って言ってるけど、やめなよ、そうゆう言い方」って、指摘されました。
そう言えばお袋って呼ぶようになったのは、ハタチ過ぎてからだった。
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