旦那様は甘くて意地悪
その後は式場を案内してもらった。
階段を降りようとした時に、直樹さんの携帯がなり電話に出て、少し後を歩いていた私だったが、後から誰か押された。
「うわぁ」
その声に振り向いた直樹さんが、素早く私が落ちないように支えてくれて、階段から落ちなくてすんだ。
だけどその瞬間に、私はあの日に恋した彼の事を思い出した。
一度しか会った事がないから顔は今ではハッキリ覚えていない。
「大丈夫か!?」
心配そうに私にそう言う直樹さんが、図書室で会った彼と重なる。
「は、はい。大丈夫です……躓いただけなので」
「危なっかしくて心配だから手を繋ぐからな」
そう言って私の手を握る。
その時に微かに"チっ"と舌打ちが聞こえたが、きっと幼なじみの彼女だろう。
そして私を押した犯人も彼女。
そのまま式場を出てマンションに戻ったが、私は複雑だった。
幼なじみの彼女は、私を階段から突き落とそうとするくらい直樹さんの事が好きみたいだし、それに彼女みたいに直樹さんの事が好きなのか?と言われたら分からない。
何だか中途半端な気がして、このまま結婚なんてしてもいいのかな?って思ってしまう。