旦那様は甘くて意地悪
次の日の朝。
目覚めると隣に眠っていた筈の直樹さんは居なくて、リビングに行くと置き手紙があった。
『ぐっすり眠っていたから起こさなかった。早く帰ってくるから』
そう書いてあった。
平凡な毎日だったのが、急に結婚とか言われて戸惑うばかりだったけど、夢じゃなくて現実なんだよね……。
直樹さんも悪い人じゃないし、ご両親はよく知ってる人で安心だけど、好きになれるのかな?
でもこのマンションに荷物もあるし、まずは生活をしていかなきゃいけないって事だもんね。
私は少し遅めの朝食を食べた。
洗い物をしていると、私の携帯の着信音が鳴った。
見るとお兄ちゃんからだった。
「もしもし」
『円?直樹と一緒に住んでるって本当か!?』
「うん……」
『マジかよ!親父はさっき俺に報告してきたし、直樹からもなんの連絡もなかったしどうなってるんだよまったく』
「お兄ちゃん」
『何だよ』
「直樹さんの事、知ってるの?」
『知ってるし何回も小さい頃から遊んだりしてたぞ?お前は会ったことはなかったし、俺が会わせたくなかったけど。許婚なんて認めたくはなかったけど、まぁ、直樹は良い奴ではあるし、他の得体のしれない奴より直樹なら許してやる。でも何かあったらいつでも連絡してくるんだぞ?じゃあな』
そう言って電話を切った。
お兄ちゃんも知ってたんだ……。
でもあのお兄ちゃんが認めてくれるんだから、やっぱり悪い人ではないみたいだけど。