王宮メロ甘戯曲 国王陛下は独占欲の塊です


翌朝、目が覚めて開いた瞳に最初に映ったのは、ご機嫌そうなギルバートの満面の笑顔だった。

「おはよ、リリー。今日も可愛いね」

寝顔を思いっきり覗き込まれていたことに、起き抜けのリリアンの頭が一瞬で目覚める。

「ギ、ギル……! な、何してるのよ」

「何って、リリーを起こしに来たんだよ。でもほら、もうベッドに入っちゃ駄目って言われたから、こうして寝てるリリーを眺めて起きるのを待ってたんだ」

起こしに来たのなら声をかけるなりしてさっさと起こせばいいものを。ずっと寝顔を見ていたなんて悪趣味だとリリアンは怒ろうとする。

けれど、ベッドに頬杖をついてニコニコとしているギルバートを見ていると、そんな気持ちは萎んでしまった。

「もう……、寝てる顔見られるの恥ずかしいのに……」

なんだか照れてしまって、手繰り寄せたシーツで顔を隠せば、ギルバートは邪魔だとばかりにそれをクイクイと指で引っ張った。

「照れてるの? 可愛い、リリー。ねえ、恥ずかしがってる顔もっと見せてよ」

そんなことを言われては、ますます顔が赤くなってしまう。このままではいつまでも包まったシーツから出られなくなってしまうと思い、リリアンはゴロリと寝返りを打ちギルバートに背を向けた。

「あ、朝からあんまり困らせないで。すぐに支度していくから、ギルは先にブレックファストルームに行ってて」

そう言うと、ギルバートはクスクスと嬉しそうな笑い声をたてたあと、「分かった、先に行ってるね。ほんっと、リリーって可愛いんだから」と素直にベッドから離れ、部屋を出ていった。

ようやく包まっていたシーツから顔を出せたリリアンだけど、朝から加速を始めてしまった胸の鼓動は、なかなか元には戻らなかった。
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