王宮メロ甘戯曲 国王陛下は独占欲の塊です

「今日は来客があるから、今夜の晩餐は一緒に摂れないんだ。ごめんね、リリー」

朝食の席につくなりギルバートはリリアンに向かってそう謝ってきた。

国王ともなれば、国内外からの客が多くて当然だ。それをもてなすのも仕事なのだから仕方ない。

「別に謝らなくてもいいのに。それがギルのお仕事でしょう」

残念じゃないと言えば嘘になるが、そもそもただの子爵令嬢のリリアンがギルバートを独り占めしている方がおかしいのだ。それに対して駄々をこねるほどリリアンは子供ではない。

けれど、ギルバート本人は違っているようだ。

「僕はリリーと晩餐が摂りたかった。きみとじゃなきゃ、どんな料理を食べたって美味しくないし食欲も湧かないのに。リリーはそうじゃないの?」

拗ねた口調で言われてしまって、リリアンはパンを手に持ったまま眉尻を下げて困ってしまう。

「私だってギルとご飯が食べたいけど……、でも晩餐会は国王の大切な仕事でしょう? それで会談や交渉が円滑になって、国に利益をもたらすなら素晴らしいことじゃない」

そんなことはリリアンが言わなくとも彼だって分かりきっていることだろう。しかし、当然のことを窘めたリリアンに、彼は手にしていたカップを置くとひとつ溜息をついた。
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