花の色は 移りにけりな いたづらに
『…暁坊、それはどういう意味かね?』
『将来、桜芳ちゃんを僕のお嫁さんにしてください』
源じいの目が鋭くなる。
怖い…
『桜芳を気に入ってくれたのは祖父としては嬉しい
…が、暁坊、桜芳には既に』
『知っています!!』
食い下がる。
今負けるわけにはいかない。
『なんと…』
『じいさまに聞きました
それでも僕は…
それでも僕のお嫁さんは桜芳ちゃんじゃないと嫌なんです!!』
源じいに精一杯頭を下げる。
『…知っていても尚、我が家の桜芳を…』
沈黙。
それはとても長い時間だった気がする。
下げ続ける頭にあたたかい感触。
源じいの大きな手だった。