花の色は 移りにけりな いたづらに
久遠流宗家家元の妻は本家で稽古を積み、師範となり家元を公私ともに支えるべしーーー
「貴女は既に師範となっています。それがどういうことか分かりますね?」
今にも唇が触れてしまいそうな距離で、私を真っ直ぐに見据えて語りかける。
「…お稽古を辞するということは久遠流を辞すること…
師範という名も剥奪されるはずです…」
「貴女は『華』になるべく育てられたはずです。それをも放棄するというのですか?」
「ええ…私は、私の作り上げるものは、
所詮『花』でしかありませんから…」