黒桜~サヨナラの前に~


「瑠璃南?」



「さっさと動けよ!……早く、早く倒せっつってんだろ!!?」



まだ、自分の言ってる口調が分かんないみたい。



「あっれぇ~?あの瑠璃南ちゃんがそんな口調で喋るんだぁ~!」



みぃがわざとらしく大きな声で言う。



そしたらやっと、瑠璃南は自分が使っていた口調が分かったみたい。



皆の方を見て、焦った顔をしている。



「……瑠璃南。お前……」



洋が何か言おうとした時、瑠璃南はこっちに向かって走り出した。



「……なぁにぃ~?……こっちに向かってきて。」



「姉貴、下がって。」



四人があたしの前に立ち、瑠璃南を見る。



隙間から見えたその顔は、悔しさで酷く歪んでいた。



――――ドンッ!



あたしと瑠璃南の間に立つみぃに思いきり体当たりをする。



そのせいでみぃが少しぐらついた。


< 163 / 196 >

この作品をシェア

pagetop