鬼が往く
最強の極道
都内にある、関西明石組池袋支部。

明石組の東京における最大の拠点であり、若頭である椎名がいる場所でもある。

その夜、池袋支部に１人の男が呼び出された。

根津 正則（ねづ まさのり）。

関西明石組直参根津拳神会会長であり、神楽坂、釘宮と並び称される『明石組三強』の筆頭格。

実質喧嘩では、明石組最強の男である。

大柄で、金髪のオールバックと左の口端にある傷痕がトレードマーク。

その傷痕と漂わせる威圧感も相俟って、同じ組の構成員にさえ、近寄りがたい印象を与える。

「根津、何で呼び出されたかは分かるな？」

池袋支部の一室。

ソファにふんぞり返った椎名が、向かい合わせに座った根津に向かって言う。

「明石組三強ももうお前だけや。後の2人が、沢渡のガキにみっともない負け方晒しよったさかいにのぅ」

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