秘書と野獣
その後お互いになんとも言えない気まずい空気が漂っていたけれど、おいしい料理を食べていくうちに気がつけばいつも通りの私達に戻っていて。
そのことに心の底からほっとした。
…のだけれど。
その夜の猛さんはいつもとちょっと違っていた。
何がと具体的に聞かれても非常に困るのだけど。
なんというか、いつも以上にとにかく優しかったのだ。
まるで壊れ物を扱うかのように丁寧に丁寧に抱いてくれて、いつもなら時間と共に少しずつ内に秘めた荒っぽさを剥き出しにしていくのに、その日は本当に最後の最後まで優しくて。
もっと言うなら、その……ねちっこいというか。
自分でも何言ってんだと思うけども。
でも本当にその日の彼はいつもと違っていたのだ。
そ、そりゃあ、嫌なんかじゃなかったけど。
それどころか、き、気持ち良かった…んだけど。
けど!!
あまりにも終わりが見えないものだから、しまいには私が泣き出してしまって…
ほんと、今思い出してもあの夜は色んな意味ですごかった。